プロフィール – バロック

所属する藤原歌劇団ではこれまで、1990年ニューイヤーオペラ「椿姫」でデビュー以来、「ドン・ジョヴァンニ」(タイトルロール)、「蝶々夫人」(シャープレス)、「チェネレントラ」(ダンディーニ)、「セビリアの理髪師」(フィガロ)、「アイーダ」(アモナスロ)、「ボエーム」(マルチェッロ)、「ルチア」(エンリーコ)、「カルメン」(エスカミリョ)、「シモン・ボッカネグラ」(パオロ)、「愛の妙薬」(ベルコーレ)、「アンドレア・シェニエ」(ルーシェ)、「ファウスト」(ヴァランタン)、「マクベス」(タイトルロール)、「アルジェのイタリア女」(タッデーオ)、「アドリアーナ・ルクヴルール」(ミショネ)、「トスカ」(スカルピア)「道化師」(トニオ)「ファルスタッフ」(タイトルロール)などに出演。藤原歌劇団を代表するバリトン歌手として活躍。 
新国立劇場では開場以来、オープニング公演(ゼッフィレッリ演出)「アイーダ」にアモナスロ役で出演後、「セビリアの理髪師」(フィガロ)、「蝶々夫人」(シャープレス)、「ボエーム」(マルチェッロ)、「リゴレット」(タイトルロール)「ナブッコ」(タイトルロール)、「椿姫」(ジェルモン)、「夕鶴」(運ず)など出演を重ねている。 
共演した歌手はホセ・カレーラス、アグネス・バルツァ、レナート・ブルゾン、ピエロ・カップッチッリ、ホセ・クーラ、ジュゼッペ・サバッティーニ、ルチア・ヴァレンティン=テッラーニ、ジュゼッペ・ジャコミーニ、ルッジェーロ・ライモンディ、フランチェスコ・コロンバーラなど多くの著名な歌手と舞台を共にしている。 
また15年間にわたり、国立音大の音楽研究所に所属し、モンテヴェルディの「オルフェーオ」、ペーリ「エウリディーチェ」、カリッシミ「イェフテ」、チェスティ「オロンテーア」などの公演に参加。同研究所年報に「イタリア初期バロック時代の歌唱法について」「イタリア声楽曲におけるメリスマ音型の歌唱」などの研究論文を発表し、バロック時代の演奏と研究は高い評価を受けている。「歌と詩の解釈、通奏低音のセミナー」など、多くの音楽セミナーや講習会に講師として参加し、バロック時代の歌唱法を基にした発声法や演奏表現を後進に伝えている。
国立音楽大学声楽科卒業、大学院修了。荘 智世恵、波多野靖祐、中山悌一、疋田生次郎の各氏に師事。第3回日仏声楽コンクール第1位・審査員特別賞(1984年)、第19回民音コンクール第3位(1984年)、第16回日伊声楽コンコルソ・シエナ大賞(1985年)受賞。1988~89年イタリア・ミラノに留学。発声、演奏法をM・カルボーネ、R・エリー、舞台表現をM・レアーレの各氏に師事。パヴィーア国際声楽コンクール第2位、エンナ市主催F・P・ネリア国際音楽コンクール第1位入賞。
第23回ジローオペラ賞、平成11年浜松市ゆかりの芸術家顕彰受賞。
洗足学園音楽大学客員教授。昭和音楽大学客員教授。浜松学芸高校特任教諭。藤原歌劇団団員。(公財)日本オペラ振興会評議員。日本ロッシーニ協会会員。静岡県浜松市出身。
大学院修了後より十数年間に亘り、国立音楽大学音楽研究所に所員として在籍し、イタリア初期バロック時代の歌唱法、演奏法の研究に従事する。
この時代の音楽を知る上で、最も重要な資料、カッチーニ(Caccini, G. 1546-1618)の歌曲集『新音楽 Le Nuove Musiche』をはじめ、同時代の作曲家の「モノディー様式」の研究をした。
また在籍する声楽家達と共に、声楽アンサンブル<レチタール・カンタンド>を結成。
多声マドリガーレなどの世俗声楽作品を紹介する連続シリーズコンサート「バロック音楽への誘い」(1984年~1998年、全11回)に参加、モンテヴェルディ、ディンディア、マレンツィオ等の多声作品を演奏した。
 
 

バロック研究について

バロックオペラでは・・・

1983、84年フランチェスカ・カッチーニ作曲≪ルッジェーロの救出≫(ネプチューン役)、
1986年モンテヴェルディ作曲≪オルフェーオ≫(オルフェーオ役)、
1989年には前出の≪ルッジェーロの救出≫ルッジェーロ役にてCD録音、
1990年ペーリ作曲≪エウリディーチェ≫(オルフェーオ役)、
1991年チェスティ作曲≪ティート≫(アポッローニォ役)、
1993、95年チェスティ作曲≪オロンテーア≫(ジェローネ役)、
1996年カヴァッリ作曲≪エリズメーナ≫(アルジッポ役)、
1997年ガリァーノ作曲≪ダフネ≫(アポッロ役)、
1998年ストラデッラ作曲セレナータ≪救出された恋の奴隷≫などの公演に参加した。
またその他、1987年カヴァリエーリ作曲のオラトリオ≪魂と肉体の劇≫、
1988年カリッシミ作曲オラトリオ≪イェフテ≫≪ヨナス≫、
1991、92年にはバンキエーリ作曲のマドリガル・コメディー≪ヴェネツィアからパドヴァへの船旅≫などを好演した。

バロック関係のコンサート 他

我が国古楽界の草分け、有村祐輔氏主宰の<プロムジカ・アンティクワ>に1984、87、88年に参加。
また、1992年静岡モンテヴェルディ音楽祭、大阪いずみホール主催モンテヴェルディ・フェスティバルの他、栃木「蔵の街音楽祭」、山梨「都留音楽祭」、熊本「悠木の里おぐに古楽音楽祭」にも数回出演している。
1987年より、およそ10年間に亘り、リュート奏者つのだたかし氏と共に、「悲しみのオルフェーオ」と題したデュオ・コンサートを全国各地で約50公演を行なう。
この演奏は1991年に「古いイタリアの愛の歌 Lamento d’Orfeo 悲しみのオルフェーオ」と題し、CD化している。
また、つのだ氏の主宰するグループ<アンサンブル・エクレジア><タブラトゥーラ>とはコンサートやCD録音で度々共演しており、とりわけ鉄仙会能楽堂、金沢能楽堂で行なった、能舞台を使ってのモンテヴェルディ「オルフェーオ」公演は高い評価を受ける。

「都留音楽祭」「悠木の里おぐに古楽音楽祭」をはじめ、「歌とリュートのウィークエンドセミナー」(ラフォーレ修善寺)や「歌と詩の解釈、通奏低音のセミナー」(所沢・松明堂)、日本声楽家協会研究生、国立音楽大学音楽研究所研修生、同大学特別教育期間、洗足学園音楽大学演奏会実習ゼミ、日本オペラ振興会バロック音楽セミナーなどにおいて、イタリア初期バロック時代の歌唱法を基にした、声楽レッスンとレクチャーを行ない後進の指導にあたっている。

1993年、国立音楽大学音楽研究所研究年報第10集に研究論文「イタリア語の発音・発声・装飾法 ~イタリア初期バロック時代の歌唱法について~」、さらに1998年には同年報第12集に「イタリア声楽曲におけるメリスマ音型の歌唱」を発表している。

またイタリアバロック時代中期の作曲家(A・スカルラッティ、ボノンチーニ、ガスパリーニなど)の独唱カンタータのリアリゼイション、現代譜制作なども手がけており、これらはすでに、Sop.高橋薫子、M.Sop.永田直美など、著名な声楽家のリサイタルで演奏され、好評を得ている。

HFJヘンデル・フェスティバル・ジャパンには

2006年のオラトリオ「ヘラクレス」(ヘラクレス役)で出演して以来、「タメルラーノ」「エイシスとガラテア」「サムソン」「サウル」「アレグサンダーの饗宴」「イェフタ」「ベルシャザル」「テオドーラ」「ソロモン」など、ほぼ毎年参加している。2009年の「メサイア」(1741年初稿版)、2010年クリストファー・ホグウッド指揮のオラトリオ「陽気な人、中庸な人」などを好演している。
またHFJでは、ヘンデル「メサイア」のCD録音に参加、2019年にリリースされているほか、第8回の「エイシスとガラテア」CDライブ録音にも参加し、2011年にリリースされている。

近年の活動

オペラの演出も手がけ、特に2006年金沢市の石川県立音楽堂主催バロック・オペラ公演、モンテヴェルディ作曲「オルフェーオ」は、同音楽堂邦楽ホールの邦楽の舞台機構を効果的に使い、新聞・TVなどマスコミにも取り上げられ絶賛された。
また2019年4月、富山アンサンブル30主催バロック・オペラ公演では、パーセル作曲「ディドとエネアス」を斬新な新解釈にて演出し好評を得た。