僕は基本が「獣」であるらしい

長らくご無沙汰を致しました。
皆様、コロナ禍の中、お元気でお過ごしでしょうか?

あまり長いこと更新しないと、コロナ・ウィルスにやられたんじゃないかと、心配されるかもしれないという事で、数か月ぶりにキーボードを叩いております。
ここ数か月、ステイホーム期間は暇なんだから、どんどん何か書いてアップすればいい、と自分でも思い、人からも勧められていたのですが・・。
実際、何もしたくない、何も手に着かない、やる気が全く失せてしまったのです。

3月までは恐る恐る、地方の仕事などもこなしていたのですが、4月に入り大学の新学期も始まらず、コンサートはすべてキャンセル、当然ホームレッスンも自粛・・。
自分の目の前から『仕事』が消えました。

朝、目が醒めるままに起き、朝食を食べ、テレビのモーニングショーなどを観ながら、ボーっと過ごすと、もう昼になって、大して食欲も無いのに昼食を食べ、午後もボーっとして過ごし、ふと気が付くと、もう夕方で、風呂を沸かして、のんびり風呂に浸かる、そして早目の夕食を摂り、テレビなどを観て眠くなったら寝る・・
また朝、目が醒めるままに起き、朝食を食べ・・・この繰り返しの毎日・・。

しかも、テレビを観れば毎日ずっとコロナの話、今日は何人罹った、何人亡くなったと、暗いニュースに病気の怖さ、死の恐怖・・。
僕などは、罹患したら最後、命は無いものだと思っていました。
まったく先が見えない、遣る瀬無さ、空虚な日々・・。
(自分は何の為に生きているのだろう・・? 何もしないで毎日を過ごし頭がおかしくなるんじゃないだろうか?)
自分というものを見失いそうになり、今思えば、あの頃僕は、軽いウツ状態に陥っていたんだと思う。
 
 
しかし、僕は基本が『獣』であるらしい。
精神的に完全に参ってしまう前に、『食欲』だけは有る。
毎日毎食、『あれが食いたい』『これを作ろう』を実践していた。
かつて、これほど頻繁に、台所に立った事が有っただろうか?

LA VITA 牧野正人 料理 食欲 獣

メタボ数値を家人に煩く言われながら、ネットで作り方を参考にして、食べたいもの作りたいものを、台所という『稽古場』で悪戦苦闘し、食卓という『ステージ』で披露し、
「美味い!」という『拍手歓声』を貰う・・。

練習、稽古を積み重ねて、ステージでお客様に披露し、拍手を頂く・・工夫して料理を作り、相手が家族であろうとも、それを誰かに供する、そして喜んで食べて貰うという事、これは全くパフォーマーの仕事と同じだ。

作品名は挙げればキリがないが、例えば・・
『中華万頭』(中身の無い白い中華食事パン)
『自家製ラムレーズン』(1週間寝かせてバターやクリームチーズ、バニラアイスと混ぜる)
『台湾風滷味(ルーウェイ)』(中華街などで店先に吊るしてある肉類)
と、どれも中々の傑作でした。
LA VITA 牧野正人 料理

『食欲』に感謝、『食欲』こそ、生きる糧。

家人の御年94歳の義祖母は、足腰もシャンとして、耳は多少遠くなってはいるが、毎日元気に大声で笑う。
一日に一度、自宅近所を散歩に出かけるが、毎日着ている服が違う。
散歩にオシャレをして出かける。

80歳になる時、胃がんの手術で全摘出しているから、量は沢山食べる訳では無いのだが、
彼女は日々の食事を、絶対に「わしゃ、何でもいいよ」などと言わない。
その時食べたい物を家人に伝える。

先日も、曰く「ピザが食べたい」・・!
長生きの秘訣はいつまでも『欲』や『興味』を失わない事だ。