只々、感謝。(4)それぞれの思いが集まって

泉良平さんが「引退なんてさせない!コンサートを企画する!」と言ってから、ものすごい勢いで話が進んでいった。

まずは出演者が決まった。
18歳から付き合いのある同級生、森山京子さん。
彼女とは尚美の受験科、国立音大、藤原歌劇団と四十年来の長い付き合いだ。

同じく大学時代から付き合いのある立花敏弘氏。
彼とは若い頃、色々な事を語り合い、大量の酒を飲み、くだらない遊びに興じた真面目な悪友だ。

立花敏弘氏の妻君である高橋薫子さん。
彼女とは藤原歌劇団、新国立劇場の「ルチア」「セビリアの理髪師」などの多くのオペラで共演してきた。

テノールの中鉢聡氏とは、ご近所さんで家族ぐるみのお付き合いをさせてもらっている、業界での親友の一人だ。

伴奏は我が藤原歌劇団創設者ゆかりのベテランピアニスト、藤原藍子さん。
彼女には色々なコンサートでお世話になっている。

また、今回の制作は泉さんの他に、日本オペラ協会公演で主役を歌っているソプラノ、長島由佳さんにお願いすることができた。

錚々たるメンバーが集まってきてくれている中、泉さんが、さらにもうお一方お声かけしてると言う。
気になって誰かと尋ねると、「演出家の岩田達宗さんに出演をお願いしています」と答えた。
ええーっ!
岩田さんはこれまで数々のオペラでお世話になっている、僕が最も尊敬している演出家なのだ。
そんな方とコンサートでご一緒できるとは思っても見なかった。
岩田さんとは、フリートークでオペラの対談をさせて貰う事になった。

この豪華なメンバーが集まってくれることに本当に嬉しかったし、弱気になっていた僕に前に進む力をくれた。